十二国記 1 月の影 影の海
この壮大な物語に出会った頃、私はとても退屈な毎日を送っていて.
本当に夢中になって全巻一気読みしたものです。
ああこんなに忙しくて大変な人生を送る人たちもいるのに私は
なんて暇なんだろうと思いながら読みふけったわけです。
きっかけは「本の雑誌」でどなたかが絶賛していて、目黒さんだったか
他の人だったか覚えてません。「本の雑誌」は説明いりませんよね。
本好きの方なら購読されたことあると思います。
さてNHKでアニメ化されたものをほとんど見てなかったんですが、
このたび全45話を見て大感激しました。こんなによく出来てたんだと驚きました。
「図南の翼」の前までがアニメ化されています。「月の影 影の海」に関しては
設定が少し違っているんだけど、全く違和感がなく、かえって説得力を増しています。
最初に流されたのが陽子だけでなく、同級生の杉本(女)と浅野(男)も含む3人なのです。
これが物語に厚みを加えます。
杉本は結局、蓬莱(もともと3人が暮らしていた場所)に戻って神隠しの謎を追うことに
なるのですが、こういう立ち位置の人材も必要なのかもと思いました。
ありえないと思うような設定が、最近では現実味を帯びてきました。
この世にありえないことなどない。だって実際に自分で体験してきたことなんだから。
杉本は心の中に真実をしまい込みます。陽子が異世界でどのように生きているか
知っているのは彼女だけですが、それを誰かに話しても信じてもらえないだろうことは確実です。
万能な登場人物はひとりもおらず、選ぶ方も選ばれる方も学びながら前へ進みます。
半獣の楽俊の言葉がとても聡明で、終始陽子を支えるのが微笑ましいのです。
蓬莱とか倭とか呼ばれる場所が地球の日本によく似た場所ですが、蝕によって
そこから飛ばされてくる人達は海客として被差別人種の扱いです。
シリーズの最初なので社会の構造や説明が多くて、それを楽俊と延王が陽子に
教える形になっています。
アニメでは一話~十四話